"ガチ"の職人、という言い方を僕は時々します。例えば、ガチのシステムエンジニア、というと中堅とかいうレベルではなく本気で何でも作れてしまう人を言います。例えば、普通のシステムエンジニアだと別にそこまで深くまで知っていなくても出来る仕事をしますよね。それくらいのポジションの方が実際社会には多かったりするんですよ。でも、中にはコイツでなければ作れないし、運用も他に任せることが出来ない、というレベルのものを作る人たちがいます。そういう、企業に媚びたり、肩書きを振りかざさなくても本当に実力のある人を僕は"ガチの"という接頭語で表現します。 最近あった会話なのですが、僕に、金持ちのおばさんを数人捕まえて演歌を書いて一曲300万くらい払わせて年間に5回くらいそういう企画をやれば年収1500万になるぞ、みたいな話を教えてくれた人がいるんです。そりゃあ作曲で飯を食う、というのは凄いことでしょうし、それはそれで尊敬出来ることだと思います。でも、ここで出てくるのが、僕は"普通の"作曲家ではなくて、"ガチの"作曲家なんですよ。 僕は自己表現というものを最も得意とするタイプの芸術家で、用途に合わせて技にヴァリエーションを出したり自分の個性を抑えて流行に合わせたりすることを極端に嫌います。お金が儲かるか儲からないかなんてハナクソ程度の問題でしかありません。お金なんて貰うことよりも、僕にとっては自分の信じる"本当の"音楽をすることがよっぽど大切なんですよ。 普通に作曲がしたい、それでお金が稼げるようになりたい、と考えているような"普通の"作曲家にとってなら5曲書いて1500万なんて土下座してでも欲しい状況だと思います。でも、僕のような"ガチの"作曲家からすると、その5曲を書いている時間があれば、一銭にもならない自分のオリジナルを1曲書く方が遙かに崇高で価値があることなのです。 ガチの職人というのは本当にその世界の玄人であり、最高レベルの技術者だと思います。ただ知識や経験があるだけではなく、それ以上にその人にしか出来ないレベルのオリジナリティーを持っている、とも言えるかも知れません。まあ、端的に言うと"普通"と"ガチ"では仕事そのものに対して望む着地点が全く違うのです。いくら同じ分野に携わっていてもね。
by Alfred_61
| 2009-12-09 22:01
| 日記
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