快楽は人をダメにする。苦悩は人を豊かにする。でも、報われない苦悩はただマイナス方向に振れているだけで、快楽しか知らない薄っぺらさと同じ危うさを持っている。報われることしか知らない人は苦悩に耐えることが出来ない。苦悩は一見永遠に続く出口のないトンネルのように思える。苦悩しか知らない人にとって苦悩は日常となり、それは最早苦悩としての意味を持たなくなる。快楽しか知らない人にとって快楽は日常となり、それは最早快楽ではなくなる。 "知る"と言うことはとても重要で危険な黄金の林檎だと僕は思います。それを食べた人間という種族は知らなくて良いことを知ることによって、考えさえしなければ幸せでいられたのにそれを苦痛だと自分で勝手に思いこむようになりました。人の習性とも言えるこの思いこみに対し、人がとった改善策の一つが宗教です。他には、自殺なんてのもあります。それらはどうにかしてコントロールできない自分をコントロールするための方法でした。 苦しいからこそ思い描き追い求める喜びがあり、喜びに包まれるからこそ予測できる先の転落があると僕は思います。そもそも僕たちが感じる"プラス"と"マイナス"の感覚は表裏一体のものであって、それらは感じる母体である僕たち個人が存在しなければ成り立たないものです。自然界にはそれぞれ個性の違う物事が発生し終わる、というだけしかないのです。それに対して悲しいとか嬉しいとか感じるのは僕たち自身であって、他の何でもありません。 だから、黄金の林檎を食べた祖先を持つ僕たち人間はそれらの感情を自分たちでコントロールし、人生という一本の綱の上をバランスをとりながら歩いていかなければいけないのです。その一つの方法として、"知る"ということがあります。自分よりも辛い人を知ることによってまるで自分が辛くも何ともないように感じることもあります。自分よりも報われている人を知ることによって自分が今するべきことをはっきり理解することもあります。 ただ一つ大元として"知ら"なければいけないことは、人生という一本の綱が完璧にバランスをとられてきっちりと安定することは絶対にないということ。右に揺れたら左に傾き、左に揺れたら右に傾く、人生ははっきり言ってしまえばそれを死という永遠の報いが訪れるまで永遠に続けていくということです。バランスをとることを忘れたりすると、取り返しのつかないところまで人生は傾きます。今の自分をしっかりと"知り"、傾きのバランスをとれば、人生はひとりでに前に進んでいきます。
by Alfred_61
| 2010-06-13 23:55
| 日記
|
ファン申請 |
||