昔は良かった的なことを言うとおっさんだと言われますが、音楽の世界でどうしても今の時代に生まれた人たちが可哀想に思えることがあります。僕たちが幼少の頃はまだ音楽を聴くきっかけは友達からの紹介や口コミ、ライヴハウスで偶然出会ったバンドなどでした。つまり、入ってくる情報量が少なかったし、少ない分だけ本当に良いものの情報しか入ってこなかったんですよね。 「○○っていうバンド良いよ」と言われているバンドは、そりゃあ個人の趣向に合う合わないはあっても、それでも音楽として本当に質の良いものを提供しているミュージシャン達でした。今は、簡単に情報が手に入るようになった分だけ、本当に良い音楽にたどり着くまでに何百何千というロクでもない音楽を聴かなければいけなくなりました。そこまで時間や探す労力がかかるんだったらと音楽を探究することを諦めてしまうのは今の時代ではとても簡単なことなのです。 そもそも、日本の音楽業界なんて上手くもないバンドをさも売れていて人気があるかのようにメディア上で情報操作して利益を上げてきたバカな歴史があるので、テレビに出てくるミュージシャンはダメだ、とかいう考え方もあながち間違いではなくなってしまっています。まあ自業自得ですけどね、業界全体の。"売ろう"としたって今の時代はそんなこと情報操作だけではもう不可能なんですよ。だって情報があまりにも多すぎるんですから。どの情報を信用すればいいかなんてもう今の時代個人では判別不可能なのです。 表舞台に出てこなくても良いバンドの噂は僕たちの耳に入ってきました。既に解散しているバンドでもその伝説や栄光は語り継がれて、彼らの音楽に触れる機会が僕たちにもあったのです。機会とだけ言うと今の時代はお金を払わなくても検索だけすれば聴ける時代になっています。でも録音=音楽、なんてそんな誤った考え方が"当然意識"として定着してしまった今の時代においては、昔僕たちが心躍らせた音楽の本当の楽しみ自体を知ることさえ難しくなってしまったのです。 情報が多いということは便利でもありますが、その質の幅が広くなってしまったということでもあります。やはり何でもそうですが本当に良いものというのは数が少ないもので、情報の質幅が広くなってしまったと言うことは言い換えればほんの少し本当に良いものが増えて同時に質の低いロクでもないものが圧倒的に増えたということなのです。 僕は作る側の人間なので残念な時代ですねとしか言えませんが、本当に今の時代の音楽リスナーは大変ですね。不況も合わさってテレビだろうがラジオだろうがネットだろうがどこを見ても商業目的の情報だらけ。本質を追究したものに触れることは本当に今の時代難しくなってしまいました。
by Alfred_61
| 2010-09-27 23:55
| 日記
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