理論なんてものは現実に起こることを後付で説明しているだけで、理論で現実のすべてが説明できるわけではありません。音楽の世界には面白い例があります。完全五度という2つの音が作る和音があります。簡単に言えばドとその上のソです。この完全五度という和音ですが、実はこれ、数学上どうしても割り切れない数字なんです。 ドから上のドまでが1オクターヴと言います。これは単純に下のドが1秒間に出している周波数を1/2にしたものです。それは簡単に説明が付きますよね。でも、完全五度という音程を同じ下のドを基準として作ったら、上に付くソの周波数は下のドの周波数の1/3になります。1/3という数は小数点以下が無限に続く0.33333・・・・ですよね。つまり割り切れないんです。けれども、現実世界で実際に音を出して、例えばヴァイオリン同士で完全五度の和音を演奏すると、音楽をやっている人だろうがそうでなかろうが耳の聞こえる人なら誰しも完全五度の和音が確かに"合っている"か"ずれている"か判断出来ます。 現実には間違いなく"完全なる1/3"が存在するんです。具体的に現実としてすべての人がそれを感覚することが出来るのです。けれども、これは数学上割り切れない数です。さて、これを必ず最小単位が存在するデジタルの世界で考えればどうなるでしょう?1オクターヴを"1"としたら、どんなに小さな単位を用いても絶対に完全五度を再現することは不可能なのです。デジタル音楽の限界というヤツですね。MIDI音楽だろうがDTMだろうが、完全五度はずれています。限りなく"合っている"状態に近いですが、ずれています。 コンピューターの中で音楽をいくら追究したところで、そこで出来るものと現実に存在する音楽とは別物です。コンピューターの中でしか出来ないことも沢山ありますが、コンピューターの中では絶対に出来ない現実にあることも沢山あるのです。所詮理論は理論、現実とは切り離して考えなければ本質を見誤ります。
by Alfred_61
| 2010-10-01 23:55
| 日記
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