昨日僕の書いた二曲のオルガンソロ曲がアメリカで初演されました。曲名はTwilightとEden。Twilightの方は僕が自身オルガニストとして初演しました。なお、僕の言う「オルガン」というのはペダル鍵盤付きの大きなパイプオルガンを指します。 演奏会後の評判はかなり良く、同席してくれたオルガニストの友人や教授陣がいつか演奏してくれたら良いなとちょっと期待してしまいました。演奏会自体は作曲家と演奏家のコラボレーション企画で、オルガン科と作曲科が合同で企画したので、僕以外の作曲家はほとんど全員オルガン曲を書くのは初挑戦という人たちばかりでした。中には面白い曲もありましたが、オルガニストとして聴いていると別にオルガンで演奏しなくても良いんじゃないかと思う曲が多数ありました。 オルガンという楽器のために作曲をすることは、他の楽器のために書くのとはかなり違いまして、その違いがなんなのかさえ理解出来ない作曲家も沢山います。これについてはいつか僕の作曲スタイルと合わせて新しい記事に書いてみたいと思いますが、今回はちょっと僕の演奏について書きたいと思います。 はっきり言いまして、人前で「演奏会」と銘打って演奏したのはほぼ2年ぶりでした。しかもオルガンでの演奏会はなんと初めて。これが不思議なことに、ほとんど緊張しませんでした。個人的に僕はとんでもなく緊張して、間違えれば卒倒するかのような精神状態になることがあるのですが、不思議にオルガンという楽器を聖堂で十字架の前で弾くという状況では、全くと言っていいほど緊張しませんでした。 僕は今までにピアノ、ヴァイオリン、歌、指揮の分野で舞台を踏んでいますが、やっぱり自分にはオルガンという楽器が合っているのだなと昨日は実感しました。僕が演奏の分野で理想とするのは、誰かに向けて演奏したり、人の期待を背負って演奏したりするのではなく、ただいつも練習室で楽しんで楽器を弾いているのと同じ状況をそのまま聴衆の前に出して、ありのままの自分を見て貰うという事です。でもスポットライトを浴びて観客を視界に入れて演奏するヴァイオリンやピアノの場合はなかなか音楽と自分の純粋な対話を表現することが出来ません。 オルガンの場合は観客に背中を向けて演奏しますし、目の前には並んだパイプや、昨日のような教会の聖堂なら十字架もあります。そういう状況ならば僕は純粋に目の前の譜面を楽しみ、喜びを持って音楽を表現することが出来るということが実証されたのです。すでにオルガンの先生からももっと人前で演奏しろと言われていますし、個人的にも自分の曲なら演奏しても良いかなと思うようになりました。なんだか自分が本当にするべき事を見つけたような気分で、とても今は嬉しいです。
by Alfred_61
| 2005-04-24 16:06
| 日記
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