今日、学期末試験の代わりの準演奏会がありました。そこで僕はもう一人の生徒の女の子と一緒にバッハのダブルヴァイオリンコンチェルトを一楽章と二楽章だけ演奏しました。ヴァイオリンを人前で弾くのはかなり久しぶりだったのですが、思いの外緊張もせず、かなり音楽に入り込めたと振り返って感じました。 他の生徒の演奏も聴いたわけですが、中に二曲、僕の好きなヴァイオリンのレパトワーがありました。一つはベートーヴェンのロマンスヘ長調、そしてもう一曲はワックスマンのカルメン幻想曲。カルメン幻想曲はまさに超絶技巧曲なのですが、なかなか非音楽専攻の生徒なのに良く弾いていました。 しかし、僕の耳に記憶されているこれらの二曲は、演奏者がヤッシャ・ハイフェッツなのです。ヴァイオリンといえばこの人ですが、やっぱりハイフェッツって凄いんだなと、他人の演奏を聴いて改めて思いました。ハイフェッツはあまりに完璧でがんばっている感じも微塵も響かせずに演奏するので、まるで難しい曲でも簡単なようにきこえるのですが、実はカルメン幻想曲なんて無茶苦茶な曲なんですね・・・。 あまりに完成された技術と音楽性を兼ね備えたヴィルトゥオーソがすでに世に出ている楽器って、これから勉強してそれで生活しようと考えるのは辛いですね・・・。ヴァイオリンやピアノの生徒は毎日6時間から10時間練習しているのです。それくらいやってもまともに演奏でご飯を食べれるのは10年に一人か二人。僕の学校出身では最近ではジョシュア・ベルというすばらしいヴァイオリニストがいますが、最近はヴァイオリンは結構才能が減ってきています。 才能というのは指が動く事ではなく、音楽を表現することの出来る人間の事です。幾ら間違いが少なくても、音楽的に人を感動させられなければただの機械です。日本の若手演奏家も技術はどんどん若年化しているそうですが、それは音楽性という意味で言うと未熟になっっていっていると僕にはどうしても聞こえてしまいます。 結局、自分が心から楽しんで、他との競争や技術やそんな事忘れてしまうくらい音楽の世界に酔えば良いのではないでしょうか?僕の今日の演奏は技術的には最悪以外の何でもありませんでしたが、弾いている本人としてはとっても楽しかったです。演奏していて、あまりの楽しさに何度も表情が緩んでしまいました。演奏している最中の僕の頭には、当然ハイフェッツの姿などなく、ただ純粋に沸き上がるセンセーションがありました。音楽って、もしかしたらそれが一番大事なのかも知れないと、実際に演奏側になってみて今日は感じました。
by Alfred_61
| 2005-04-28 12:01
| 日記
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