なんだかんだで制作中の曲は進んでいます。件のアルトサックスとハープの曲はもう終盤に差し掛かっていて、なかなかに面白い展開構成の曲になってきています。眠たいとか頭が痛いとかは依然ありますが、"生きる"ということをしないわけにはいかないので。 帰国してからの僕の個人的な探求のテーマとして"歌"がありました。たとえ器楽曲であっても、そこに僕がそれまで全くと言っていいほど取り入れてこなかった声楽の要素を取り入れることは、個人的な挑戦でもありやりたいと感じる目標でした。今回のアルトサックスとハープの曲にもそれはあちこちにあるのですが、どうにも帰国当初の感覚とはまた違った方向に自分自身が向き始めていることに気がつきました。 言葉(歌詞)の意味によって聞こえかた自体が変わってしまう歌というジャンルはやっぱり僕にはどうにもなじまないというか、心底理解出来ない部分があるのです。例えば今年起こった大震災に関して、エールを送る曲を書くとしても、いくら歌詞に言葉にその思いを込めても、歌である以上は音楽としての表現力や表現者がその裏で感じている本当の気持ちが最も重要な点となります。もちろん、本当に心から思っていることをそのまま歌詞にするなら良いのですけどね。 でも、音楽としての表現力が拙いのにいくら言葉に表現や気持ちを書いてもそれは歌としては響きません。歌は和歌とは違うのですから。日本人は昔から音楽と同じくらいに短歌、和歌、俳句に川柳というものを楽しんできました。おかげでこの現代でも言葉の意味や響きが"歌"として最も重要な部分であると信じて疑わない日本人は世の中に沢山います。それが良いか悪いかは別として、それは現実です。 単純な話です。僕は言葉にのせて何かを誰かに伝えることよりも、音だけでそれをする方がどうしても得意なのだと自分でも嫌になるほど最近実感しているのです。言い換えれば、歌を書くのは下手くそと、そういうことです。でも、例えばハープのきらびやかな響きにのせてアルトサックスを"歌わせる"ことは、どちらかというと何の苦もなく出来ます。けれどもそのサックスのラインに歌詞を当てはめたらそのまま歌になり得るかというと、個人的にはNOと考察します。僕の書く器楽の"歌"は大抵声楽にはなりそうにありません。 多分近いうちにこの曲は書き上がります。この次には実は歌を書く予定なのですが、此方の方がまだ頭の中で歯車が噛み合っていない状態なので今の曲が仕上がってもまだすぐには着手できないでしょう。まあ、ここはじっくりいきますが。
by Alfred_61
| 2011-07-21 23:55
| 音の考察
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