実は、今日を含めて直近3日分の記事内容は繋がっています。いつまでこの話すんねん、とつっこみもありそうですが、これで最後です。前回はお金さえあれば自由に生きることが出来る、という話をしました。魔法使いがそよ風を起こすことにいらない雑念を持ち込まなくて良くなる、という話でした。 でも、よくよく考えてみると、もしもその魔法使いが"風を吹かせる為にはお金が必要でだから風を使ってお金を稼がなければいけない"と信じていた場合、何かの間違いがあって魔法使いが実際に風を使ってお金を稼ぐことが出来るようになったとしたら、その時魔法使いは一体どうするのでしょうか? 魔法使いは、前々回の記事に書いたとおり、ただ谷間の村にそよ風を吹かせ、それを受ける人々や木々や花々に対して、特に対価を得る目的ではなくただ自分に出来ることとしてそれをしたかっただけなのです。それなのに、きっと風を吹かせることでお金を稼げるようになる、ということは恐らくどこかの軍隊や王様などに仕えて、それが農地開発などの建設的な仕事になるのでしょう。(ここでは小説のように軍事に引き込まれる話は敢えて避けます。) 決まった時間に決まった量の風を送ることを命じられ、それを監視され監督されて少しでも命令と違ったことをしてしまった場合には"間違って"いるとされて社会的な罰を与えられるのでしょう。謝罪で済めば良いですが、開発事業に大きな打撃を与えてしまった場合には、恐らく換えの人材がいないのでクビはないでしょうが、雇い主に対して多額の借金をすることになり、給料も朝から晩まで馬車馬のように働いて猫の額ほどのお金しか貰えないのでしょう。 でも、少なくとも魔法使いはそれで自分が"生活をするためのお金"を手に入れました。しかも、ずっと自分がそれを理想としてきた"自分の才能を活かした仕事"で社会的な立場を獲得したのです。で、ここからが今日の話です。 それで、その後、魔法使いは一体どうするのでしょうか? 魔法使いはそよ風を谷間の町に送ることが、自分の身の丈にあったことであり、出来ることであり、そして疑問もなくただ幸せを感じれたことなのに、いつの間にか自分が目的を見失ってもう二度と元いたところに戻ることは出来なくなってしまったことを気づいて、そして、その後一体どうするのでしょう? 欲しかったものは手に入りました。でも、それを"欲しい"と感じていた自分に疑問を持つことをしなかったため、結果として自分は全く"見当違いのゴール"にたどり着いたのです。たどり着くまでは必死でしょうし一歩一歩が充実していたでしょう。でも、そこにたどり着いて、それから魔法使いは一体どうするのでしょう? 人生はすべての生き物に一度しか与えられません。そこまで歩いてきて、いや、やっぱりあの頃に時間を巻き戻そう、と思ってもそんなこと現実では不可能です。お金が必要、社会的な立場か必要、と絵に描いた餅を追いかけて進んできてそれを手に入れ、だからそれが魔法使いにとって何の意味があったのでしょう? 言葉も話せない赤子でも、自分の身体に害を与える食べ物が口に入っただけで直感的に危険を感じ、普通とは違う泣き方をし、結果としてアレルギー体質になったりします。なにも珍しい話ではありません。でも、これはマイナスの現象でしかなく、実は赤子の頃、ただ谷間に吹く風を直感的に心地よいと感じていたことも、間違いのない事実なのだと僕は考えています。でも、年をとって大人になるにつれ、自分の許容を超えていることさえも分からず大酒を飲んでアルコール中毒で死ぬ人、ドラッグでも同じです、そんな基本的に当たり前なことさえも自分で感じることが出来なくなっていくのです。 人生は、音楽は常に時間の流れと共にあります。時間は一つの方向にしか進んでおらず、それが反対の方向へ戻ることは決してありません。大人になることや、社会的な立場を得ることはどこかで生きるための必要なことでもあると理解は出来ます。けれども、それによって自分自身を殺して、"見当違いのゴール"を追わされることに、僕は絶対に納得は出来ません。例えそれが社会全体の意図することであり、社会全体が僕たち個人の芸術家に対して強制することであったとしても、僕はそれにだけは自分や家族がどうなろうと全力で抵抗し反対します。 僕は、自分自身の中にある理由の為に音楽をしています。僕にとって音楽は生きることそのものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。僕にとって音楽とはかけがえのない大切なものです。だからこそ、音楽に関してだけは絶対に自分が後悔することのないように生きようと、常に考え、自分に疑問を投じ、自分が死の淵にある時振り返って今下そうとしている決断を考えても、絶対に後悔のないよう、一歩一歩歩いています。
by Alfred_61
| 2012-01-22 23:55
| 日記
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