今日はほとんど丸一日Chen Yiと一緒に行動しました。朝は九時から一時間半のレッスンを受けました。エネルギーに溢れている彼女と僕の音楽にあり得ないほどの隔たりを感じたにもかかわらず、大層気に入ってくれて幾つも素晴らしい言葉を頂きました。 その中の一つ、「貴方は自分を知っているね。貴方は血で曲を書いているのね。分かるわよ。」というモノがありました。いやはや、さすがに同じアジア人だからでしょうか、言葉なしに伝わるモノだなと思いました。もちろん彼女のいう「血で曲を書く」というのは文字通りの意味ではなく、日本人である自分から湧き出るモノで曲を書いているという意味です。う~ん、これは嬉しかったですね。 そして次に、やはり僕の和声言語について一言、「もう少し和声の種類を増やすというか、同じ和声を使い回しているだけじゃなくてもう少し広げてみたら?」とのこと。さてさて、とうとう二人目の作曲家に同じことを言われてしまいました。最初に言われたのは現在も作曲を習っているRichard Wernick博士。二人にいわれていることは、僕の和声言語の土台であるクインタルコード(完全五度を三つ以上13個以下重ねて出来る特殊なコード)についてのことで、このあまりにもニュートラルな和音以外に何か違う和声を使うことで、よりクインタルコードを響かせることが出来ると言うのです。僕にはこのコードにこだわる理由があるので、敢えて音楽を曲げようとは思いませんが、何とか先生方の意見を僕なりの解釈の仕方で生かせればとは思います。 さて、しかし今日は昼食も夕食も奢って頂き、素晴らしい経験談やこれからするべきことへのアドヴァイスを聴かせて頂き、非常に充実した二日間になりました。もし彼女がカンザスなんて言う田舎町ではなくボストンくらいの都会にすんでいたら、是非マスターレベルのレッスンを受けたいと思うのですが、残念なことに彼女の旦那さんもカンザスの大学で教授をやっていて、まあ拠点はあそこから変わることはないでしょう。惜しい! 何より、やはり「本物の作曲家」というのは、実際話したり、その細かい仕草を見ていれば分かるもので、僕のインディアナ大学での正式な先生Sven-David SandströmとChen Yiは明らかに何か違うオーラを持っています。これは実際肌で感じてみないと分からないものなので敢えて説明は避けますが、今日はコンサートでこの二人に挟まれて聴いていたのでちょっと二つのゴツイオーラにやられたようで頭がボーっとしています。やっぱり本物の作曲家ってまだまだいるんですね。僕もあの二人のようにいつかなれたらいいなと心から思います。
by Alfred_61
| 2005-11-18 13:39
| 日記
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