日本にいた頃は試験というと、周りから与えられた情報を如何に沢山記憶し、理解し、それを確認するかのごとき質問の数々にどれだけ沢山答えられるかということだと思っていました。しかし実は、僕は大学受験以降、そういう試験をほとんど受けていません。アメリカの大学には願書を出したらおいでと返事が来ただけで、当地までも入学するまで一度も来ませんでした。 さて、じゃあ自分は試験というものから遠ざかっているかというと、それは全く逆で、今は毎日が試験のような日々です。以前の記事に、オランダのアムステルダム郊外で開かれるワークショップに参加し、そこで出会う近代オーケストラから曲を書いてこいと言われている話を書きましたが、その内容は指定の編成で3分程度の小品曲という風に言われていました。 しかし、今日の朝になって「ごめんごめん、忘れてたけど、ルイ・アンドリーセンが言い出した"あるテーマに沿って作曲して貰う"というのがあって、今回のテーマは"バス停で待つ"だから、今からよろしく」というメールが届きました。曲を書けといわれたのが11月20日前後で、今日は12月7日です。〆切は1月15日必着。 僕は〆切を破るのが大嫌いなので、既に曲の半分以上を書き終えていました。今更バス停がどうこう言われてもそれとは全く違う曲の構想でやってきたのですから、変えようがありません。仕方がないので、当地のオーケストラに連絡を取りました。さすがに向こうにも落ち度があるので、此方としてはここで強く出なければと思い、もう一楽章(まあ、言い換えればもう一曲)書いたら、両方演奏してくれますかと尋ねました。すると向こうは時間配分や参加者全体への公平さを理由に、二つ書くのは結構だけれども、どちらを演奏するかは此方で決めると言ってきました。 僕が今回のワークショップで目標としていることはただ一つ、当地のオーケストラをあっと言わせて、大きな依頼を貰うことです。そのために、僕はもう一楽章書くことにしました。そして僕個人の期限は、クリスマスまでに郵送可能な状態にすることです。(クリスマス後に日本への航空券を買ってあるから) もうあと20日を切っています。しかしここでもしどちらも素晴らしい二つの楽章を持つ大きな一曲を書き上げ、パート譜もすべて揃えて25日付けで郵送したら、それはかなり大きな先制攻撃になります。僕が短時間で依頼を全うする力があることを証明することになるからです。 面白いことに、僕が今までであった「成功者」の作曲家達は、ほとんど全員一週間以内の依頼を全うした経験があるのです。しかも、それがきっかけになって繋がりが広がった人もそのほぼ全員です。僕にとって今回のことがそれに当たるかは分かりませんが、何にしてもこれは作曲家として初めて出会う大きな試験です。これに受かれば本当に作曲家として世界に羽ばたくことになるかもしれません。どうなるかは分かりませんが、今は興奮の中でがむしゃらに曲を書くしかありません。実は今日、既に最初の楽章をほとんど書き終え、新しい楽章の構想をかなり細かく書き下ろしてしまいました。来週中にも、もしかしたら曲は完成するかもしれません。
by Alfred_61
| 2005-12-08 15:22
| 日記
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