自分にゆかりの深い番号なのですが、特に僕は94が好きです。別に宝くじの番号ではありません。これは実は讃美歌の番号なのです。あらかじめ言及しておきますが、ここで僕が言う讃美歌とは日本で編集され文語日本語訳の歌詞をあてられたもので、新編讃美歌でも口語日本語訳でもありません。 色々な音楽を聴くということは音楽を勉強する上でとても大事な作業です。しかもコツコツと長い間やらなければいけないのでかなり根性がいります。さらに、データベースの規模や種類によって傾向が偏ってしまえば自分の音楽性を偏らせることに繋がるので、なかなか難しいのです。ちなみに、僕は旧編讃美歌の約600曲を何度も全曲弾きました。もちろんオルガンでですが。そう考えてみれば自分が今ないがしろにしているオルガン演奏能力は勿体ないのかもと感じます。いやはや。 で、讃美歌の中で特に僕の人生に近いのがタイトルの5曲です。90番は最初に覚えた讃美歌で、この広い大空を表したような和声進行が何とも言えず気持ちの良い、素晴らしい曲です。294番は、僕の古い先生が「私の葬式でこの曲を弾け」と言っていた曲で、4番の歌詞が何とも言えず泣けます。405番は別れの歌で、昔の色んなことを思い出してしまうのでどうしても涙を堪えてしまう曲です。537番はあまりに前向きな曲なので逆に泣いてしまう曲です。537は音楽的な展開も非常に高度に編まれていて優れた楽曲だと思います。 さて、最後に94番ですが、これは僕が讃美歌と名の付く単旋律曲の中でもっとも好きな曲です。元々は12世紀に作られた"Veni, veni, Emmanuel"というラテン語の単旋律歌曲でしたが、讃美歌集の中では三度の和音をつけられています。個人的には単旋律のままの方が良いと思います。キリスト教徒であれば恐らくほぼ全員が知っている超有名曲ですが、やはり非キリスト教国日本ではそれほど広く知られてはいません。まあ西洋文化における民謡のような感じでしょうか。興味のある人はYouTubeででも検索したらすぐに出てくるのでそちらを参照ください。 讃美歌という音楽形態には不思議な力があるように僕には感じられます。率直に言うと歌詞が良いとか胸に響くとかいうことは全くないのですが、どうにもこの和音、オルガンの響き、メロディー、それらが妙な具合に絡み合って、その曲を歌うだけで何か不思議な力を貰うような、そんな気がするのです。音楽を魔法と表現するならば、讃美歌はその完成型の一つだと僕は思います。流行じゃないからとか、古くさいからとか、宗教的だとか、色々理由をつけてフィルターをかけて聞いてしまうのは簡単なジャンルですが、純粋なその形態はかなり高度な音楽です。こういうものをしっかり理解できないということは自身が作っている曲もきちんと理解できていないと僕には思えます。 う~ん、でもどうなんでしょうかね、時代が変わり、こういう良い文化に触れることもできなくなってきているのではないでしょうか。きっとこれからの世代が耳にする讃美歌はあの何度聞いても吹き出しそうになる口語訳とか、信仰をあおる邪な目的で作られた雑音が大半なのではないでしょうか。日本の古い神道系民謡もどんどん歌われなくなってきていますしね。今の時代は音楽大学に行ってもなかなか讃美歌を全部弾いたりするような勉強はしないのでしょうね。僕もやらされたのではなくて自発的にやってきただけですからね。ベートーヴェンの交響曲を全曲勉強することや新鋭作曲家の新作を網羅することより遙かに意味のある勉強だと僕は思いますが。
by Alfred_61
| 2008-01-15 20:59
| 日記
|
ファン申請 |
||