まあ今となっては過去のことなのですが、僕が昔に師匠から習って未だに頭の片隅にこびりついている言葉があります。それは"Perfect Imperfection"つまり"完全なる不完全性"です。良い音楽には常にこの"完全なる不完全な"部分が存在する、と師匠が昔僕に言ったのです。これは、本当に一体具体的に何を意味しているのでしょうか。未だに僕自身も完全に理解しきれてはいません。 まず一番簡単な辺りから言うと、曲というものは最初から最後まで"完璧な"音を書いてはダメだということです。すべての音が完璧な動きをすれば、完璧なレベルがスタンダードになってしまい、結果的に完璧はその完璧さを失うのです。まあこんなものは序の口で、芸術を志している人なら当たり前のように理解していることだと思います。 さて、不完全さを一つの作品にはちりばめなければいけないことは分かりましたが、その不完全さとは一体どういうものなのでしょう。ただロクでもない雑音をちりばめればそれで良いのでしょうか。それは本当に"完璧な"不完全さなのでしょうか。まずバランス的に見て、不完全な部分の内容如何によって完全な部分との比率、バランスを"完璧に"しなければいけませんよね。そのバランスを考えた上で、不完全な部分がどういう具体的内容なのか検討し決めていかなければいけないのです。 しかし、音楽に限って言えばその不完全性をどこに当てはめるか、それはまさに無限のチョイスがあります。例えば、"曲の長さ"を不完全にすることも出来ます。その中でも万という可能性かありますが、一つ例を挙げるなら曲をあるべき長さよりも短くするという方法があります。聴衆はもっと聴きたいと感じるのに、曲はそれを叶えずに終わってしまう・・・それによって聴衆の聴きたいという気持ちを煽るということが出来ますよね。これも"完全なる不完全性"の一つの例えだと僕は思います。 そう、ただ、やはり発想力のない人は不完全性と聞くとすぐに和声を思い描いてしまう人、つまり不協和音だけが音楽の不完全性だと思ってしまうんです。でも、少なくともリズム、メロディー、ハーモニー、フレーズ、テクスチャー、構成の6つの音楽の構成要素で不完全性を作ることは可能ですよね。曲の長さというのは最後の構成を不完全にするというポイントになります。しかも、僕はこの6つの構成要素以外にも音楽で不完全性を作ることは出来ると思います。実際どういうものがあるのか・・・それは僕の音楽から色々と聞いて貰えれば耳の良い人なら分かると思います。 ま、究極的に言ってしまえば、これを言葉で表現できるくらいなら僕は作曲家ではなくて理論家になっていました。僕はこれを言葉ではなくて音楽でしか表現できないから作曲家なのです。別にそうなりたくてなっているわけではなくて、ただあるべき姿を取っているだけの話です。ここから先の話は、僕は語るよりも音楽で表現することを選びます。
by Alfred_61
| 2008-08-07 21:51
| 日記
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