確かに、どういう先行きでどういうヴィジョンがあるから作れるというものもあるのです。料理なんてまさにそれで、今日はこういうものをこう作ってこういう皿にこう盛りつけてどんなワインと合わせて誰とどんな雰囲気の音楽をBGMに食べる、という明確なヴィジョンがあればかなりまっとうなものが作れるのです。 というよりも、そういう明確なヴィジョンなしにただ手探りでパズルのように色々音を当てはめていって機械に演奏させて、それで自分の気に入ったものが出てくるまで何度も作っては消してして粘る、というのははっきり言って作曲家ではなくてただの素人です。どういう料理をどうやってお客の元に届けるかきっちりと筋道を立ててヴィジョンを持てるからプロの料理人なのでしょう。今日何食べたい?と尋ねるのはそもそも素人さんの行為であってプロではありませんよね。 自分が何をしたいのか、何を作りたいのか、何を表現したいのか、そこでまずははっきりとしたヴィジョンを持つことが何よりもまず先にしなければいけない仕事だと僕は思います。いや、最初から自分は本当に曲を作りたいのかそうでないのか、そこからだと僕は思います。作りたいという抑えようのない願望があるからその行為を実践するわけであって、本当は作曲は見栄でやっているだけという人はそりゃあヴィジョン作りの段階から躓くのは当然ですよね。 僕自身はというと、やはり自分の周りの状況によって出来ることと出来ないことがはっきり分かれてくるので、自分が努力してもせっかく描いているヴィジョンが無駄になってしまう可能性が残っている以上は作曲にしても具体的な行動をとることは出来ないんですね。そういう状況で、ただ自分の方に風が吹いてくるのを待っているだけの作曲家は世の中に星の数ほどいますが、僕はそうはなりたくないので自分から自分の望む状況を作る、という努力をします。状況が整う前に信用買いで曲を作ってしまって結局無駄になってしまうというケースは多々ありましたが、それなりにこれでも状況はよく見て、出来る範疇で最も興奮できるものを選んで作っているつもりです。今もそういう類の曲を一曲書いています。今の自分たち、これからの自分たち、それを冷静に見て今一番面白そうなことをしようと、僕はただそう思って曲を書いているだけです。決してコンクールや他人に認められて音楽だけで生計を立てていけるようになるためなんて邪な動機で曲を書いたりはしないのです。
by Alfred_61
| 2009-02-27 23:53
| 日記
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