芸術家のアトリエって、入るととても不思議な雰囲気と空間を感じることが出来ます。これにはまあ考えれば当たり前のことですが、芸術と自分の生活環境の密接な関係が理由となっているのです。広ければいいというわけでもなく、ものが沢山あれば良いというわけでもありません。それよりも、自分がきちんと集中するために必要最低限のものを揃えておくことが重要なのです。 例えば、僕の場合はテレビがあると、あの画面が発する気持ちの悪い周波数にイライラしてしまうので、どうしても自分の生活環境にテレビを置くことが出来ないのです。基本的に娯楽関連のものはあんまり沢山置いているとそれにかまけてしまって制作に集中できないので極力アトリエには持ち込まないようにするべきなのです。けれども、誰にでもある創作意欲をかき立てられるものというのは出来るだけ部屋に充実させておくべきなのです。 つまり、アトリエ作りというのは普通の居住空間を作るというだけではないのです。まずは場所選びですが、その部屋にいるときには少し違う自分でいられるような、落ち着ける空間がいいです。けれども、すぐ近くに何か外に出て歩く理由になるようなものがあることもとても大事です。部屋にこもっているとやはり一つの考え方にどんどん落ちていって抜け出せなくなってしまう時があります。積極的に短時間の散歩が出来る環境はとても大切です。僕の場合は大阪城と中之島という気分転換には最高の場所が近くにあります。 なんだかんだだ言って、僕は田舎の生活というのが結構好きだったりします。実際には大都会のど真ん中に住んでいますが、それでも生活自体は地域や環境と密接にあろうと願っています。ここでもまずは自分という芸術家にはどういう環境が最も心地よくて制作に繋がるのかを出来る限り具体的に感覚出来なければいけません。自分がどういう生き方をしたいのか、それが分からなければアトリエなんて作ろうにも作る意義も理由もないのですから。 環境というのは物質関連のことだけではありません。一番大事なのは人間環境です。誰と一緒に暮らし、誰と一緒に食事をし、誰と一緒に笑い合うのか、それも自分できちんと選んで、自分の意志で一つ一つ決めていかなければいけないのです。決してそこで"伝統"なんかに踊らされずに、環境に流されずにしっかり自分でNoと言えなければいけないのです。Noと言うだけではなくて、今までそれが当たり前だったものを"革新"、言い換えれば捨てて前へと進む勇気も、そこではどうしても必要になってくるのです。自分が今までそこにいたからと言う理由で過ごしやすく感じてしまっている環境を変え、自分で決断し一つ一つ環境整備していくことは、芸術家にとっては人生をかけるほどの大仕事なのです。 ここでも大事なことは一つ。決して環境や社会通念に踊らされずに、自分が本当に心から、心の奥から自然に思える願えることを一つずつ実践していくことなのです。社会のすべてが間違っていると言っても、自分の中で正しいことは実行しなければいけないのです。例え世界が敵に回っても、例え自分が孤独になっても、それでも自分の信じた理想を追わなければいけないのです。芸術家のアトリエが普通の人たちにとって居心地の悪い空間であることは、そういう理由があるのです。
by Alfred_61
| 2009-04-01 21:07
| 日記
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