ジャンルって、まあ言ってしまえば過去の音楽のどういう種類を模して作品を作るかという意味ですよね。メタルバラードとか、ファンクとか、クラシック(日本語にすれば古典派風)とか、まあ色々ありますよね。先月レコーディングをしていたとき、今回ゲスト参加のメンバーから「この音楽ってジャンルは何になるんですかね」ときかれて困りました。 細かく言えば、僕の音楽では、リズムはポリメトリック(同時に複数の拍子が存在する)なのでもう歴史上にているものを探したら多分Ars Nova時代のスタイルになるだろうし、和声法はオープン5度の多用を考えると12世紀ノートルダム楽派になるだろうし、けれどもアンサンブル編成はエレキギター、エレキベース、ヴォーカル、ドラムですから近代様式だし、かといって曲全体の構成法はどう考えても近代クラシックだし、まあホントに何、とはジャンル付け出来ないんですよ。 でもまあ、実際自分自身に聞いてみる形で分かることは、僕は最近の音楽(1800年から現在)よりも実際にはもっと古い音楽を模していることが多いのですね。模しているというのは語弊がありますが、参考にしたりヒントを貰ったりしているのがそういう、所謂"古代"の音楽なんですよ。もう中世も通り越えて古代。 なぜならば、古代という時代には音楽は存在していても音楽の歴史や伝統がほとんどなかったのです。だから曲を作るのは今よりも遙かに自由だったし、純粋だったんです。ちょっと何かを作れば「xxxに似ている」という表現の仕方でコメントされるのが現代音楽の宿命なのです。少しでも自分の知っている何かと結びつけて、それで"xxxっぽい"と定義づけることによって自分の中でカテゴライズしてそれを理解したふりをしているんですね。音楽を理解するということをまるでイコールジャンルとして認識することだと勘違いしているんです。大変な錯覚、誤解、誤認識、偏見、差別です。 前にも書いたことがありますが、僕の音楽は基本的にカテゴライズ出来ません。出来ないから、実に様々な人たちの音楽に似ていると言われたことがあります。Björk、Miles Davis、Claude Debussy、ここまでだけでも一体何かわけが分からないですよね。それがさらにIgor Stravinskyとか、果てにはFrank Zappaですよ。なんだこれ。どうせなら僕の好きなPérotinとかGuillaume de Machautとか、グレゴリオ聖歌とか言って欲しいんですけどね。 ジャンルなんてそもそも僕の音楽にはないんですよ。僕の音楽のジャンルは"Ogino"だと、ジョンが口を酸っぱくして言っています。すべての音楽がジャンル分け出来ると思ったら大きな勘違いで、ジャンル上無国籍のミュージシャンなんて世の中に数多くいます。それこそ、フランク・ザッパなんてジャンルではもうどこに入れて良いか分かりませんからね。プログレッシヴにしてもフュージョンにしても、それは具体的な決まった時代に決まった地域で盛んに演奏された固有の音楽を指すもので、決して現代に作られる新しいジャンルに対して"ワケが分からないから"という理由で使って良い便利なジャンル名ではないんですよ。 僕にしか作れない音楽だから僕の音楽なのです。言葉にしたらこれほどバカらしいものはありません。僕にしか作れない、誰も今まで聞いたことのないような新しい音楽の世界に触れたいと、少しでも興味を持つ人がいれば、是非ネット上ででも良いですし、来月発売になるCDでも良いですし、一歩足を踏み出して新しい世界に飛び込んでみることを是非お勧めします。僕の音楽はSound Gate。新しい音楽への扉は、そこにあるのです。
by Alfred_61
| 2009-09-26 23:55
| 日記
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