今ではRPGといえば汎用ゲーム機でやる、ドラクエやFFの類似品というもの、というのが一般的な感覚ですが、実はこれをアメリカで言ったら友達に面白いことを言われたことを思い出しました。そいつ、Anthony Joseph Lanmanは、ロールプレイングゲームって言うと、紙の上に地図を書いて、それぞれの設定やキャラ、武器なんかを決めて数人で集まって進めていく昔のボードゲームのことだと言うのです。 彼は非常に熱くRPGのことを話し始めました。その当時のRPGには決められた枠組みがなく、自分たちが楽しみながら想像した世界を形にしていくことが出来たそうです。そして、そうやって子供心に描いたファンタジーの世界を友達と共有してどんどんまるで現実であるかのように広げていくことにこそ、RPGの楽しみがあったと彼は言うのです。 僕はその時代のRPGという物を全く知りませんが、彼の話を聞いていて真っ先に感じたのが、どうして今の時代のRPGにはその"自分たちでイメージを発想して作り上げていく"という部分がないのだろう、ということです。少なくとも、初期汎用ゲーム用RPGにはつたない部分が多く、どうしても表現しきれない部分をプレーヤーの想像に任せていた部分がありました。 僕の個人的な経験で言うとスーパーファミコン版真・女神転生がこれにあたるのですが、例えば会話で出てくるのはひらがなとカタカナだけであったり、ドットの荒い絵の為に表情が全く分からない人物像であったりしたのです。そこに神話に出てくる武器や魔法を使うわけで、実際はきっとこんな感じで自分たちと敵悪魔が戦っているんだろうなと、想像しながらゲームを進めていたのです。 グラフィックが美しくて、昔は想像しなければいけなかった戦闘シーンやイベントシーンはまるで映画を見ているように表現されるようになりました。でも、何が寂しいかというと、技術が発達することによって、昔は自分で考えて想像して、そして自分が考えるが故にどっぷりとそのファンタジーに入り込めたあの興奮が、今の時代のゲームにはないということです。 紙の上に地図を書いて繰り広げていたRPGにはあったのに、今はその時代と比べて遙かに超越した技術があるにもかかわらず"RPG"として本質の部分で昔のRPGには敵わない部分がどうしても僕にはあるように感じられて仕方がないのです。今、もし紙の上のRPGで一番面白かったポイントを最先端技術で表現したら、きっととんでもなく凄い物が出来ると僕は思うのですけどね。というか、今の若いゲームクリエイターって、知らないんじゃないですかね、紙の上のRPGのおもしろさって。まあどうせやったこともないんでしょうけどね。 う~ん、ゲームに限らないんですけど、歴史を一度しっかり洗ってみて、自分がどういう歴史の先っぽに立っているかを知る、というのはどの芸術分野においても必要なことなんじゃないでしょうか。ただ今の時代に競合者が作っている物だけに触発されて制作しても、所詮は薄っぺらいものになってしまうんじゃないでしょうか。何もなかった時代に当時のクリエイターが苦労して作っていた芸術から、得るものはきちんと得るべきだと僕は思うんですけどね。
by Alfred_61
| 2010-04-20 16:13
| 日記
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