今日は住吉大社の夏祭りに合わせて行われる、庖丁士の奉納行事を観に行きました。目当てにしていたのは山陰流庖丁士の清水秀樹氏による五刀鯉(ごとうのこい)というものなのですが、この方との出会いは全くの偶然で、一昨年の冬に何となく入ったお店が大阪梅田の曾根崎にある心の館清水という日本料理屋で、ここのマスターが清水秀樹氏なのです。 清水というお店は非常に客と店主との距離感が良く、友達と盛り上がって日本酒を飲んでいたら自ら料理を運んできたマスターと話す機会があったのです。機会というか、店を出ようと席を立った僕の隣のお客さんが誤って僕の飲んでいたお酒をこぼしてしまったんですね。清水氏は「ウチの店が狭いからです。申し訳ありません。」と言ってお酒を新しいものと交換し、さらにメニューには載っていない一品を僕たちが飲んでいたお酒に合わせてサービスしてくれたのです。これはこれは、と友達と美味しく頂き、そんな機会にマスターのお店の刺身がなぜ美味しいんですかね、という話になったのです。 清水秀樹氏はそこで、ご自身が数年毎に住吉大社や大阪天満宮で山陰流庖丁士として魚を神前でさばいて奉納する、ということをされているお話をしてくれました。その時の写真などを見せていただいて、いつか是非観に行きたいです、とその時お話していたのです。今回は偶然平日のお昼時に梅田にいたのでランチを食べに清水に行った際、店内に貼られていた告知の紙を見て今日のことを知ったのです。 五刀鯉というのはその名の通り、立派な鯉に5回包丁を入れるのですが、それが表に2回裏に3回と互い違いに入れるのです。しかも実はブツリと切ってしまっているのではなく、下側の皮一枚を残すんです。そして5回切ったあと、包丁で台をトンと叩き、ぐっと魚の端を押さえると、ビーンと切れ目を入れた部分から切り身がが立つんです。もちろん頭も尻尾も繋がっているので、まるで6つにぶつ切りしてそれぞれを立てたような形になります。 魚を切る清水氏の動きには無駄がなく、それでいてそこにかける集中力のすごさから、なにやら霊験あらたかな雰囲気さえ感じられました。しかし、五刀の入った鯉が立った瞬間、あまりに見事だったので観客から自然と拍手が湧きました。本当は厳粛にしなければならなかったのでしょうが、その技のすごさに自然と僕も拍手をしてしまいました。 清水氏の作る料理には細かいセンスの良さ、絶妙なバランス感、そして食べる者への想いが詰まっています。氏曰く、「2日前にご連絡いただければ、ご予算に合わせて何でもお作りいたします」とのこと。外国から今度誰かが遊びに来たら是非連れていってあげたいお店です。
by Alfred_61
| 2010-08-01 22:53
| 日記
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