SOUND GATE ZEROの7曲目になるアイデアについて少し書きます。この曲にはかなり基本に近いリズミックカウンターポイント、日本語で言うところのリズム的対位法が使われています。基本となるリズムは一小節内が2/4+3/8となっています。フレージングの最小単位が八分音符で表すと4+3なのです。 さて、対位法を始めるときはまず2声から。ドラムがこの4+3を刻むとしましょう。それに対し、例えばベースのフレーズ構成が逆の6+4だとしましょう。拍子にすると3/8+2/4ですね。八分音符の数が一小節内で同じなので、ダウンビートが揃えば一小節は同じ始まりと同じ終わりのタイミングを持っています。 ♪♪♪♪+♪♪♪ こんな感じになるのですが、さて、これ、一体どういう風に聞こえるでしょう?音楽理論では、この曲は4+3と3+4が同時に起こっている、というあくまでも観測的な事実しか語られません。しかし、それすらも果たして"事実"なのでしょうか?4+6と6+4を同時に鳴らす、ということは果たして本当に"4+3と3+4"になるのでしょうか? リアルの音をイメージしたり、聞いたことがない音でも脳内再生出来る人なら当たり前のことなのですが、これ、必ずしも"4+3と3+4"にはならないんですよ。これに影響するのはリズム以外の音楽の構成要素です。もしベースが非常に短くアーテキュレイトされた音符とテヌートされた音符を織り交ぜて自分のリズム構成を演奏したとしましょう。すると、聞いた人が感じることの出来るリズム構成の可能性が増え、ベースのアーティキュレーション構成がもたらしたその可能性はドラムのリズム構成さえも変えてしまって聞き手に届けるのです。 まるで拍の少ない6/8拍子のように聞こえさせることも可能ですし、当然ですがまるで7/8であるように聞かせることも出来ます。さらに突き詰めていけば、それ以外にももっと色々な聞こえ方を、2つの声部それぞれの音符次第で聞き手に届けることも可能なのです。まるで4/4のように聞かせたりね。リズムを対位させることで起こるエフェクトはあまりにも時と場合によって多様に変化するため、リズミックカウンターポイントという分野にはまともな理論は存在しません。 だって、僕がここで言っている2つの声部でのリズミックカウンターポイントというものを、さらに広げて第3の声部を加え、さらに第4、第5と加えると一体どこまでどんなことが出来るでしょう?考えてみると案外と恐怖のような絶望のような無限の可能性が目の前に広がりますよね。ある意味、この分野においては錬金術のように試行錯誤して答えを探していくより他に方法がないんですよね。ただ対位させればいいかというと、リズムはピッチ以上にデリケートなのですぐに何の色を混ぜても同じ灰色になるように"同じ"カオスが出来てしまいます。しかし、扱い方次第で今まで使い尽くされてきたピッチ達にも全く新しい役割を持たせ効果を出させることも出来るのですよ、リズミックカウンターポイントを使えば。 しかしまあ、こんな分野、個人研究でしか掘り下げることは出来ませんけどね。学校では誰も教えてくれないし、教えられないですからね。SOUND GATE ZEROのPiece7制作では特にこのリズミックカウンターポイントを全面に出しています。
by Alfred_61
| 2011-10-18 23:54
| 音の考察
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