帰国してほぼ丸1日、疲れと時差のせいで眠っていました。帰って来るなり妻からは痩せたと言われたのですが、「まだ身体がカリフォルニアタイムやからな!」と毎回答えていたらイラッとすると言われました。 僕がお世話になっていたアステア家は牧場経営で生計を立てており、お父さんはもう75歳になりジョン以外の子供達はすべて独立していて別々の州に住んで別々のことをしています。僕が見ていた限り、現在牧場経営を任されている雇われのカウボーイ、ギャリーさん(65歳)はジョンに今後の牧場経営を引き継いで欲しいっぽかったです。 牧場経営の詳しい内容を僕は今回初めてギャリーさんから説明されましたが、非常に興味深かったです。雨が降るか降らないかで牧草の状態をしっかり見極め、状況次第ではビタミンや栄養分を詰めた大きなバケツをあちこちに置いて牛達に食べさせ、それを日毎に移動させたり、なんてなかなか実際にお手伝いさせて貰う機会は今までの僕の人生でありませんでした。 しかしまあ、アステア家はそれだけ広大な土地と、自然に繁殖して毎年必要な分だけ売ってもどんどん次が生まれる数の牛を持っていて、流通の経路もしっかりと人と人レベルで繋がりを持っていて、つまりは安泰なわけです。子供達がいなくなった分、アステア家がロサンゼルス近郊に持っている土地や家はご両親やジョンか妹のジョアンナが使うくらいで、言ってしまえば余っているのです。 ジョンのご両親からは最後のお別れの際、「ウチには家も空き部屋も沢山あるんだから、あなたのカリフォルニアの家だと思って今度はあなたの家族も一緒に来なさい」と言ってくれました。個人的にもあそこまで資産があるなら多少お邪魔したところで全く気にならないレベルでしたので、是非また来ますと答えました。 ロサンゼルス、サンタバーバラ、サンルイスオビスポ、サンマルガリタとそれぞれ固定資産を持っているアステア家ですが、ロスは別としてそれ以外はま~あ言ってしまえばリゾート地かただの広大な田舎です。向こうでさんざん話に上がりましたが、僕が住む大阪は古都である奈良や京都に非常に近く、しかもビジネスの集まる大都会なわけで、ずっとあちらに住む方々にとってはもう別世界であり、僕の日常の話を聞くだけでも楽しいと言われました。僕にとってはこっちにいる今が異世界ですけどね~と笑っていましたが、もちろん本音です。 あっちはあっち、こっちはこっち、それぞれ全く違う世界で、こっちにしかないものもあっちにしかないものもあります。多分、ずっとこっちにいればあっちが羨ましくなり、逆も又然りなのでしょう。多分ですが、僕にとっては少なくともあっちとこっちと時々行ったり来たりすることが出来る人生なら、きっと楽しいだろうなと、純粋にそう思えました。 どんなに価値のあるものでもそれが日常になれば価値観は薄れます。ならば、価値観を時々リセットしてやれば自分の日常が如何に楽しく充実したものであるかもわかりますし、向こうの世界の美しさもより鮮明に感じられると僕は思うのです。ジョン・アステアと僕は、なんだかんだ言ってミュージシャンとしては相当恵まれた状況にいるんじゃないかと、なんだかそう結論として思えました。僕たちには従わなければいけないルールもないし、暗黙のプレッシャーもありません。単純にやりたいことをやりたいようにすればいい、そんな理想を許されていることに感謝せずに音楽をするのはなんだかな、と二人でモンタナ・デ・オロ州立公園を歩きながら話しました。
by Alfred_61
| 2012-02-07 23:55
| 日記
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