現代という時代はある意味で言えば音楽がスタイルによって全く違う重点を持っている時代と言えるかも知れません。そして何とも理解しがたいことは、これから言及する二つのカテゴリーは、それぞれが相手の持つ重点をほとんどアレルギー的に否定する、もしくは理解しようとしないような態度を持っていることです。 ポップミュージック(ロックやジャズ、ラップも含む)、もしくは一般に広まっている音楽は、その重点をリズムに置いています。リズムがその「ノリ」やドライヴ性を生み出し、リズムがいまいちな曲はなかなか売れることはありません。ダンスミュージックなどその権化のようなもので、リズムを取り除けばほとんど人をエンターテインできる要素はなくなってしまうのです。だから下らない曲は歌詞の内容で勝負するしかないんですね。全く、音楽なのに言葉で勝負なんて情けないことこの上ありません。それならポエムで良いですよね。 逆にアカデミズムにある音楽(無調音楽など、しかしミニマルミュージックを除く)はその重点をピッチ(音程)に置いていて、はっきり言って固有のジャンルによればリズムを完全に無視しています。そして彼らはポップミュージックなんて単純なコード進行のありきたりなメロディーしかないと決めつけてしまうのです。これに反発して(アンチテーゼとして)生まれたのがリズム中心のミニマルミュージックなんですね。 うーん、どうして両方しっかりやろうと思わないんでしょうか。まあ、実際現在活躍している作曲家の曲にはリズムと音程のどちらにも重点を置かれているものが沢山あります。ポップ音楽のコード進行に退屈感を感じる人も、アカデミック音楽の訳の分からないリズムに思わず吹き出してしまった人も、世の中には決して少なくないと思います。本当に良い曲は、結構作曲側が無意識にリズムも音程も素晴らしい割合で使っていることが多いです。 まあ、音楽の要素とはこの二つだけでは決してなく、他にも考えなければいけないことは星の数ほどあるのですが、リズムと音程というもっとも中心核となるべき二つの要素のどちらか片方にだけ重点を置いてもう片方はどうでもいいというのはなんだか違う気がします。もちろん、この話は結構無茶な一般化をしているので、個々の曲については必ずしもこれが当てはまるわけではないですが。取りあえず僕はロック畑で育ったアカデミック作曲家として両方上手く調合して美味しい味を出していこうと思うわけです。
by Alfred_61
| 2005-12-17 14:11
| 日記
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