自分の欲求と肉体が自然に求めることとは似ているように感じても実は違うと僕は思います。正直なところ、小学生の頃に親に飲みなさいと言われて嫌々飲んでいた時期をのぞけば、僕は牛乳というモノを10年ほどほとんど口にしていませんでした。もちろんこれは牛乳そのものだけという意味で、お菓子なんかに入っていたのは摂取していました。 ふと・・・ホントにな~~~んとなく、去年の夏頃に本当の牛乳ってどんな味だったっけ?と思い、食品屋に行って"Whole Milk"(日本語では全乳と言うのでしょうか?)を購入しました。これは文字通り混ぜモノもなければ脂肪分を減らしたりも何にもしていない、絞ったままの牛乳で、買って帰るとすぐにちょいと電子レンジで温めてそれだけを飲んでみました。 「甘っ!!」が僕の第一声でした。牛乳ってこんなに甘い飲み物だったのかと、本気で腰が抜けそうなくらいびっくりしました。何というか、そりゃあグラニュー糖の単純な甘さではありませんが、何とも芳醇で滑らかで、自然の甘みってこういうことを言うんだろうなと思いました。それ以来、それまで好きじゃなかったコーンフレークも牛乳を楽しむ為に食べるようになりました。プリンを作ったりする時も、牛乳の甘さを生かすように味付けをするようになりました。 しかしまあ、気をつけていたにも関わらず、カルシウムなんかはやっぱり足りていなかったから余計に美味しく感じたとも思うのです。ああいう「美味しい!」という感じは体が求めているものだなと思いました。久しぶりにドーナツが食べたくなる感じとは全く違うのです。表現しにくいのですが。大きな違いは、美味しい美味しいと牛乳ばかり飲んでいると、だんだん当初のようなおいしさが感じられなくなってくることです。飽きてくると言った方がいいのでしょうか。 まあ、だから今は朝のコーンフレークと、たまに本気でカフェオレを作る時くらいにだけ飲むようにしています。自分にとって必要なモノは、無意識レベルで微妙に+αの美味しさが感じられるというのが人間のネイチャーなのかなと、何となく感じます。そしてやっと音楽の話になりますが、それは音楽を聴く時にも言えることだと思います。自分の心が欲している音楽は、自分が考えている以上に深く楽しめるのではないでしょうか。そして、出来ることなら僕たち作曲家はそれぞれの時代の人々が一様に欲するモノを与えられたら最高ではないかと思います。 最後に蛇足っぽくなりますが、「昔の音楽」に妙な違和感を感じるのはこれが理由だと思います。もちろん、人それぞれですので、感じる人も感じない人もいますが、昔は昔の人々のために、そして近代音楽は近代の人の為に書かれているわけで、そこでどうも自分にどちらが合わないなどと感じるのは普通のことだと思います。周りの人がどう感じるかは別にして、自分が一番気持ちの良い音楽を聴くのが一番自分のためになると僕は思います。
by Alfred_61
| 2006-01-27 08:00
| 日記
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